〜広告班〜


<舞台下手にベンチと大林と奥出が運ばれる>
<二人にピンスポ>

「大林君、大林君、テレビ見よ。」
<大林、テレビをつける>
「あっ、ベッカムでてる。ベッカムベッカベッカベッカムカム」
「面白いね。大林君。」
「うーん、それより俺お気に入りのCMあるんやってー。」
「何?何?」
「武富士」
<武富士CMソング-「SYNCHRONIZED LOVE」のフレーズ、"Let's go!"が鳴る>
<大林少し踊る>

「やっぱこのCM俺の感性にマッチしてるわー。」
「俺は嫌いやなー。目のやりどころに困るもん。大林君とは感性が合わないね。だから、お笑いで成功せんかったんやってー。」
<照明消えて寺角にピンスポ>
「おわかりかのう。CMにも感性が関わっているんじゃのう。」
<照明消す>
<ナレーターが下手に出て、ピンスポ>
突然ですが。*みなさんは日頃どれくらいの時間TV放送をみているでしょうか。家にTVがない、という人以外は当然テレビコマーシャルをみたことがあると思います。
これらには、様々な企業のメッセージが込められているのです。
それでは、いくつかの例を挙げてそのことを説明していきましょう。
1本目は、サントリーのあのCMです。ご覧ください。


<サントリー「DAKARA」のCMが流れる>

このシリーズは有名だしおもしろいですよね。ではこのCMについて、目白大学文学部奥野貴司教授は次のように述べています。VTRをどうぞ。

<奥野貴司教授によるCM解説が流れる>

このように、このCMでは、ダカラを飲めば健康になるということを視聴者にわかってもらうために作られているのです。

次は、みなさんもご存じのあのコマーシャルをどうぞ。

<SEGAの湯川専務が主演のCMが流れる>
このCMはかなり有名ですよね。さて、みなさんはこのCMをみてどう感じたでしょうか。このコマーシャルを企画した広告会社電通の岡氏に聞いてみましょう。岡さん、どうぞこちらへ。
岡さんはこの広告ではなにを伝えたかったのですか?


岡さん役「岡です。*この企画で私が伝えたかったことは、セガがプレステに負けたということをセガ自身が認めることだったんです。」
えっ。そんなこと認めてしまっていいんですか?

岡さん役「はい。普通は負けた人の言葉なんて誰も聞こうとはしませんよね。
じゃあ、みんなは、負けた人の言葉をどういうときに聞くかを考えてみて、それは敗者が負けを認めたときではないかと私は考えたんですね。
今までは負けていた、けれど、これからはわからないぞというふうな感じです。それで今のような形になったんです。」


なるほど。岡さんありがとうございました。

このように一見なんでもないようなCMにも企業のメッセージが込められているのです!
そうなると次のCMは、一体どういうメッセージを伝えているのでしょうか。それではVTRをどうぞ。

<ファンタのCMが流れる>

このシリーズも結構たくさん放送されていますよね。でも、ここまでくるとなにを伝えたいのかわからにように見えます。
しかし、このようなCMにもきちんと企業のメッセージは込められているのです。
「このCMはファンタという商品名を視聴者の頭の中に刻みつけることのみに重点をおいています。そのため商品の説明はいっさいせずにインパクトの強い映像のみを使ってCMを作っているのです。」
これまで紹介してきた3本はほんの1例にすぎませんが、僕達が見ているCMには企業のメッセージが込められている、というのはわかってもらえたと思います。
このように作られているCMですが、視聴者にこのような企業のメッセージはちゃんと伝わっているのでしょうか。
みなさんが普段見ているCMで、鮮明に記憶しているCMと、そうでないCMがあるでしょう。
しかも、その種類は人それぞれです。1本のCMにおいても、人が持つ印象は様々です。
これは、各個人の持つ、感性の違いから生じるのです。では、この30秒のCMをご覧ください。これは、アメリカの、あるスポーツ用品メーカーのCMです。

<NIKEのCMが流れる>

みなさんはどんな印象を持ちましたか。事前に数人の方にこのCMの感想を聞きました。その映像をどうぞ。

<インタビュー映像が流れる>

このCMを見て、「おもしろいとは思えない、不愉快だ、こんなCMがあってもいいのか」という否定的な意見の人がいました。
しかし一方で、おもしろいCMだと、爆笑している人もいました。

また、広告代理店の方は「一連のCMを見ると意図は分かる。特にひどいとは思わないが、モラルの面からいって、日本で流せるかどうかは分からない」とおっしゃっていました。
このインタビュー結果からは、人がそれぞれ違ったとらえ方でCMをみていることがわかります。
感性は人によって異なっているということを実感してもらえましたか。
それではここで、CMを企業の立場から眺めてみましょう。企業しては、消費者にCMを見てもらって、それが商品の購入につながらなければ困ります。
そのためには、消費者の感性に働きかけなければなりません。しかし、消費者全体の感性に働きかけるには、無理があります。年齢、性別、趣味などのたくさんの要因により、人それぞれ感性が違うからです。
ですから、CMをマーケティングにつなげていくために、企業はまず、ターゲットを設定し、そのターゲットの感性に対して最も効果的であるようにCMを作るのです。
それでは、現在放送されているCOPAのCMを使って説明します。まずはCMをご覧ください。

<COPAのCMが流れる>

COPAは女性をターゲットとしています。では、CMの中で、女性に対してどのような表現をしているのでしょう。
日本エージェンシーという広告代理店で、COPAのCMを手がけている西川俊夫さんにおうかがいしました。

『また、企業の予算などに関係しますが、COPAは女性をターゲットにしているので、多くの女性がTVを見る時間帯にCMを流しています。』

このようにCMは、ターゲットの感性に合わせて製作されているのです。ですから、自分の感性に合わないCMは、記憶からも薄れ、感性に合うCMは、記憶に心に残るのです。
そして、「ターゲットの心に残らせる」のが企業の意図です。世に出ている商品が多種多様であれば、それだけ企業の定めるターゲットも多岐にわたります。
現代では、誰もが、何らかのターゲットにされています。そのため私たちは、企業の思惑にはまり、CMにおどらされてしまうことがあります。
でも、単に「企業の広告として心に残る」というわけではなく、「おもしろい、感動すら覚えた」というCMが、みなさんにはありませんか。
そういった場合私たちは、企業広告以外の何かを、CMの中で、無意識に感じ取っているのではないでしょうか。

それでは、CM制作者は何を意識してCMを作っているのでしょうか。もう一度西川さんに聞いてみましょう。西川さん、どうぞ、入ってきてください。

西川さん2号役「西川さんは来られないので、僕が代わりに来ました。「西川さん2号」とでも呼んでください。

そうですか、本人が来られないのは残念ですね。仕方ないですね。では、2号さん。CMを作るときに意識していることは何ですか。
西川さん2号役「じゃあ、スクリーンを使って説明しましょう。」

CMでは、企業の伝えたいことばかりを表現しても、面白いものにはなりません。そのため、CM制作者は、自分の感性をCMに反映させて、CMの中でおもしろい表現を目指します。
だからといって、制作者の意思をあまりに強く表現してしまうと、視聴者に「このCMのどこが宣伝なの。」と思われてしまいます。
ですから、制作者は企業の要望と自己表現とのバランスをとらなければなりません。このことを、私たちはCM制作をするときに心がけます。

なるほど。CMに感動すら覚える理由は、制作者の感性を無意識のうちに感じ取っていたからなんですね。
それでは、視聴者がCM中で、CM制作者の感性を意図的に感じるようになったとしたら、どうでしょう。2号さん。

西川さん2号役「CMの中で私たち制作者の感性を見てくれるとありがたいですね」

なるほど。制作者にとって、CMを、自分の感性を表現した映像作品として理解されることはうれしいということですか。
一方、視聴者の立場としては、CMの中で制作者の感性を感じることで、CMを、単なる企業広告だと思うのではなく、それ自体が、作り手の感性が表現された作品だと、とることができます。
だから、CMそのものは面白く話題性があるのに、商品は売れないということが起きるのはこのためです。

視聴者としては、CMを、CM制作者の芸術として楽しんでみてはどうでしょうか。
では、今までのことをまとめてみましょう。

CMの第一の役割は、企業から消費者にメッセージを伝えるということです。
しかし、普通にメッセージを伝えても消費者は興味を持ってくれません。そこで、CMは、消費者の感性にうったえるように作られるのです。
消費者の感性にうったえるために、CM制作者は、自分自身の感性で勝負します。そして制作者の感性が消費者の感性を動かしたときに、そのCMのメッセージは消費者の心に届くのです。

あなたも、制作者の感性を意識しながらCMを見てはどうでしょうか。きっと、あなたの感性に刺激を与えてくれます。
ふだん何気なく見過ごしているCMでも、新しい気持ちで向き合うと、新たな感性に出会えるかもしれません。
自分の感性を豊かにするために、何に対しても、積極的に感性を働かせましょう。今まで無意識に通り過ぎてきたものを、これからは意識することで、私たちの感性はもっともっと磨けるのです。
では、「CM」についての発表の最後に、番外編を、どうぞ。
<今まで話していたナレーターが退場もう一人登場>

それではここで、番外編として、制作過程で僕たちが見つけたCMとして、このCMをご覧ください。

この缶詰のCMについて説明します。
熊の捕ったサーモンを盗もうとする男が登場。それに対して熊は空手で応戦。
熊のけりを受けた男は「あっ、あんなところにワシがいる〜」と熊の注意をそらし、股間に痛恨の一撃。
苦しむ熊を尻目にサーモンをGET。

この缶詰の企業はこう言っています。「最高をあなたにお届けするためなら我が社は最悪な手も使うのです。」と。

どうだったでしょうか?実は今のこの熊、中国 洛陽市 王城公園で『王浩』さんという人に育てられてきた熊なんです。名前は『李恩実』といって今6歳です。日本にも来たことあるんですよ〜。

(そういえば、さっきの熊の動物園の話は、まぁ、冗談なんで、本気にした人は気を付けて下さい。)
それではこれで、番外編を終わります。
<照明消す>
<ベンチ、大林、奥出を中央に運ぶ>
<二人にサス>

「大林君、大林君。CMの言葉って心に残るね。」

「例えばどんな??」
「うーん、(・・・)」
「やっぱり俺はアレだね!ダンサーズ カモン!!」

<暗転>
<舞台に人が出てくる>
<武富士CMソング「SYNCHRONIZED LOVE」のCMワンフレーズ(30s)を舞台で踊る> 
<踊り終わったら暗転>

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