仮想現実 〜ようこそリアルな嘘の世界へ〜 page3
総合司会:
ごく最近になってから人は産業を大いに発達させました。その中でも、今生活に強く根付いているものひとつがテレビではないでしょうか。絵というものを大きく飛び越え、私たちが生きている、この三次元の世界を人の動きをリアルに再現できる、テレビは人のバーチャルにどのような影響を及ぼしたのでしょうか。では、TVの発表をどうぞ。

◆テレビ班発表◆

スクリーンに"太陽にほえろ!"が流れる

ナレーション:
 テレビドラマとは、多種多様化してしまった各文化的領域の中で、受け手の生活様式に最も直接的な表現をもって影響を与えるものです。そして、視聴者は主人公に感情移入し、その物語に入り込むことで、ドラマとは常にわれわれの共感の的になっています。

司会:
 ではここからはテレビの発表です。われわれの発表では80年代・90年代前半・90年代後半の3つに時代を比較しながら進めていきたいと思います。まず、それぞれの時代のキーワードを発表してもらいましょう。
A:80年代・70年代のドラマのキーワードは「熱血・青春」です。

B:90年代前半のドラマのキーワードは「恋愛・時事問題」です。

C:90年代後半のドラマのキーワードは「純愛・障害者への配慮」です。

司会:さて、それでは観点別に3つの時代ごとに発表していきましょう。最初のテーマ「時代とドラマ」!ではお願いします。

A:80年代以前は「青春」や「刑事」、また「熱血」で象徴される時代でした。70年代から80年代にかけて、日本は先進国の仲間入りをし、経済的にも裕福になりました。しかしその反面、人の心が貧しくなっているという声も多くささやかれるようになりました。

スクリーンに"101回目のプロポーズ"が流れる

B:90年代になるにつれて、「恋愛」「時事問題」が時代の象徴と変わっていきました。91年にはバブルが崩壊し、活気あった社会に暗黒が立ち込めましたが、「東京ラブストーリー」「101回目のプロポーズ」を代表とする恋愛ドラマの主人公の必死な姿が新鮮であったのだろうか、多くの人の心を捉えブームとなりました。

スクリーンに"ビューティフル・ライフ"が流れる

C:90年後半は「純愛」「障害者への配慮」などに象徴されます。大震災からの復興などを通じて思いやりの心を教えられ、生きる強さを感じました。それらの人々の姿と障害を持つ方々が一生懸命生きようとする姿がオーバーラップし、視聴者に強い関心と興味を与えたことはそういったドラマがヒットした原因になっています。
司会:
 それぞれの時代では様々な出来事が起こり、いろいろなジャンルのドラマが入れ替わり入れ替わりブームを呼び話題になりました。それでは、これらの社会情勢の中、その時代の人々は、テレビドラマの様々なジャンルの中に、いったい何を求めていたのでしょうか。
C:やっぱり、ドラマといえば恋愛もの。90年代後半には「ロングバケーション」2000年には「ビューティフルライフ」など、いずれも高視聴率をマークし、話題となりました。恋愛ものでも“家族愛”に関する作品も高視聴率を収め、「太陽は沈まない」などでは医療現場での人為的ミスを題材に取り上げ、かつ、母親を亡くした高校生のゆれる感情を描写していてよく時代にあった作品というのも多く見られる気がします。
A:80年代以前では、恋愛物というよりは、友情物、教訓物のほうが高視聴率を集めています。その時代の中で生まれた、「太陽にほえろ!」や「3年B組金八先生」などは、人々が忘れ始めていた心や生きることへの力強い描写が印象的であり、また、高度経済成長期の「モーレツ社員」を思い出させるような「熱血」という典型的な人物像を反映しつつ、その社会に反抗するかのように型破りな登場人物が多く出ていました。それが、しっかり当時の人の心をつかみ、結果的にはその時代の象徴になっていったのです。このころの作品はドラマという仮想現実の世界において「正義」という形でいき方そのものを示し、多くの人に対して共感を得られるものとなっています。この背景には学園闘争や急激な経済成長があり、成長だけを追い求めた国に対し、一般市民からの視点で日本を見たときの問題点や反論を表しているのではないでしょうか。

B:「僕はしにましぇ〜ん!」で有名な「101回目のプロポーズ」や、「同情するなら金をくれ」というセンセーショナルなせりふが話題となった「家なき子」などが高視聴率を記録した90年代前半は、全世代をターゲットにしたものも多く見られます。特に1994年は“いじめ自殺”が多発した年で「人間失格」などは、社会への告発めいたメッセージがこめられています。1995年には阪神大震災・地下鉄サリン事件が起こりました。そんな中で現実の冷酷さを知った人々は、思いやり・やさしさを求めドラマにも大きな影響を与えました。

C:90年代後半は、90年代前半に相次いだ大災害・平成不況など暗いニュースばかりが世間をにぎわす中で、人々の理想はドラマにより大きく現れるようになりました。そんな中で純愛ものが復活しました。「ビューティフルライフ」では車椅子の人に対する接しかたや対応に付いても深く考えさせられるものがあり、現在どれだけ障害者に偏見があり、問題になっているかがわかりますね。こういった社会問題を取り上げた作品が高視聴率を修める背景には私たちの関心の高さがあるのではないでしょうか。ドラマを通じて障害を持った方々の問題について多数の人々が考えられるというのは、非常に大切なことだと思います。
ナレーション:
これらからの僕らの考察は、ドラマというものは、社会の現状と人々の思いをよく反映しているものだと思います。各時代においてその時代の出来事に関連したドラマが出来ていました。これは、人の理想がドラマに乗り移っているということではないでしょうか。人が考える理想の世界。“仮想現実”。
 人の理想は現実と大きく違い無謀にも思える理想に過ぎません。僕らは理想を作り上げるなんて考えなくてもいいのです。理想はかなわないから理想でいられます。いかに理想近づこうとし、より良い理想を持ちつづけるか。それが理想を持つ意味だと思います。そんな中で“仮想現実”は重要な位置をしめているのです。

司会:
いかがでしたか?人はそれぞれ自分の仮想に世界というものを持っています。その整理の意味もこめてここで休憩を取ります。引き続き音楽をお楽しみください。

〜ここで5分間の休憩〜

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