仮想現実 〜ようこそリアルな嘘の世界へ〜 page1
◆オープニング◆

遠い昔。
日が注ぐ大地。
どこまでも続く地平線。
やがて日が沈み、広大な草原を歩きつづけた羊飼いは、
疲れた足を休めながら、まるく広がる夜空を眺めた。

無数に瞬く星たちは、まるで何かを語りかけるように、
明るく、輝いていた。
彼らは星に何を見たのだろう。

今を生きる私たちは、
仮想の世界に何を見るのだろう。

☆オープニングムービー☆
総合司会:
 昔の人が星を見てバーチャルを感じたのと同様に、それが解明された今、人は何にバーチャルを見出すのでしょうか。
 時間と仮想の流れをメディアの移り変わりとともに見ていきましょう。仮想の原点にあるのは“絵画”ですよね。動かない一枚の絵から何を汲み取るのか。では、絵画の発表どうぞ。

◆絵画班発表◆

 
ルネサンス以前、人々は神を絵に表していました。「宗教画」と言われるものです。当時はお金持ちの人が画家に宗教画を描かせていました。何のためでしょう。お金持ちですから、生活に困ってのことではないと考えられます。心の救済を求めたか、現状では満たされずに絵の世界に仮想を求めたのでしょう。当時、彼らは肉体的にも精神的にも調和のとれた完璧な存在になることを理想としていました。神を理想美の象徴としていたのでしょう。
初期のものは神や天使は人より高貴なものとし、神の視点から絵を描いた作品が多く見られます。後期になると、神たちが地上に降りたものが出てきます。
 14世紀になると、人々はキリスト教などの伝統的な考え方にとらわれない科学的なものの見方をしたり、個性的で人間味あふれる芸術を求めるようになりました。絵画の世界でも人間の視点で絵を描く人が出てきました。現実の人々の生活や自然を主題にした、「写実的な絵」の登場です。一点透視の遠近法や明暗法などが、現実を切り取るための手段として用いられるようになったのです。
 その後、ルノワールやモネ、マネなどの印象派の絵が出てきました。彼らは風景画を野外で製作することにより風景には決まった色はなく、光の状態によって刻々変化していくことに気づいたのです。彼らはその光のもたらす色彩効果を風景や人物に見出し、その印象を表そうとしました。
 科学技術の急速な発展は、絵画の世界にも大きな影響を与えました。1884年、イーストマンが軽量で現在あるものに近いカメラを開発、1900年に本格的にカメラが一世を風靡しました。その頃、絵画の世界では、ゴーギャンやピカソなどによる抽象画が生まれました。彼らは自分の目でとらえたイメージをありのままにとらえようとした印象主義の考え方を超越し、作品に自分なりの思いや意図を込めようとしたのです。ピカソは、1901年頃から心を表すような絵を求め始め、1930年代頃には完全にスタイルを統一しました。今、映し出されている絵はカメラが普及する以前のピカソの絵です。現在知られているピカソの画風と違い、写実的な絵を彼は描いていました。カメラの登場により、もはや現実をそのまま切り取るだけの絵では物足りなくなったのでしょう。 
  そしてピカソはこの絵のように、心の内面を映し出す絵を描き始めました。その後、シュルレアリスム(超現実主義)という、夢となって現れることの多い無意識の世界にあるイメージを現実を越えた形や、組み合わせによって表そうとする人が登場しました。
時代の変遷とともに、絵画のスタイルは刻々と変化してきました。しかし、そこには現実を見ている一方で、それでもどこかで仮想を抱いている人間性が根強く残っているのではないでしょうか。それは、現代の私たちにも通じるものです。

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