「学問発見講座」が実施されました。

平成231125日(金)に、2年生を対象に「学問発見講座」を実施しました。この講座は、大学から先生方をお招きし、学部・学科に関する講義や研究の内容紹介などをしていただくことで、進路選択に向けて生徒の意欲を高めていくことをねらいとして毎年行っています。本年は13分野の先生方から、学部や学科、研究内容等について専門的で高度な内容を興味深く講義していただきました。

講 座 の 紹 介 講座の様子


 @人文学   大阪大学言語文化研究科  中村 未樹 先生

普段あまり触れることのないイギリス演劇の誕生から現代までの変遷をこと細かに説明していただきました。

(生徒の感想から) イギリス演劇について、演劇が生まれた起源から現代に至るまでプリントや映像をもとにわかりやすく説明していただき楽しかったです。劇の構成の仕方が変化していったこと、また観客の教養のレベルによって劇の内容が変化していったことなど、大変興味を持ちました。イギリス演劇についていくつかの作品を紹介してもらったので、ビデオを借りたり台本を読んだりしてさらに深く知っていきたいと思いました。


 A教育学1  福井大学大学院教育地域科学部  八田 幸恵 先生

日本史の加藤先生の実践を例に上げてPCKを説明して頂き、教育研究や教育学について講義していただきました。

(生徒の感想から) 私は、英語の教師になりたいと小さい時からずっと思っていたので、教育研究や教育学には全く興味はなかったのですが、今日の講座を聞いて、教育学というのはとても深くておもしろいものだなと思いました。講座の中で出てきた加藤先生の授業のやり方もとても興味深く感じました。自分が教師になるためには、これからもっと多くの知識を得て、それを熟考していかなげればならないなと思いました。


 B教育学2  京都大学大学院教育学研究科  佐藤 卓己 先生

教育がメディアと歴史に密接な関係を持っているということについて説明していただきました。

(生徒の感想から) 歴史とメディアをつなげて考えるという見方が新しくてとても興味深く感じました。日頃僕らが正しいと思っている一般常識は、メディアに植え付けられたことであって、日本とは違う国々ではそれが常識ではないということがあり得るということに驚きました。日々のメディアで報道されていることをうのみにしてはいけない、新しい別の視点から見ることも大切だと思いました。


 C心理学   京都大学大学院教育学研究科  皆藤 章  先生

有名な画家の絵を通してその画家の精神状態を探るなど、現代の心理学の目指しているものについて説明していただきました。

(生徒の感想から) いきなりショッキングな話で先生の話に引き込まれてしまいました。スライドにはいろいろ工夫があっておもしろく、有名な絵を使うことで身近でわかりやすく心について感じることができました。中でも、人がコントロールできる心というのはごくわずかであるという事実に驚きました。自分というものが何か自分の支配の及ばないところにあるような気がして、不思議な感覚になりました。


 D法学    新潟大学法科大学院  西野 喜一 先生

法に関する歴史・哲学と、基礎法学・解釈法学などの幅広い知識を得ることができました。

(生徒の感想から) 法学部というと、ただひたすらに六法全書を暗記しているという勝手なイメージがあったけれど、哲学的な考え方が要求されるということを知りました。1つの文章について、解釈が多様にあると聞いて法に関する議論はとても難しいということが分かりました。さまざまな解釈に対応できる法をつくるということはとても慎重に行わなければならないし、困難を伴うものだと気がつきました。

 E経済学   福井県立大学経済学部  村井 節也 先生

所得税・消費税・贈与税など税金の話をして頂き、日本が直面している問題点なども学ぶことができました。

(生徒の感想から) 最初、税金の話ということで、ガチガチのこむずかしい話が続くと思っていたけれど、とても分かりやすく、また、身近な例が多く魅力的なお話でした。質問にも大変親切に答えて頂いて、近年の消費税の重要性と日本の財政状況を知ることができました。日頃、私達は、税金をあまり意識したりしませんが、実は身近なところで使われたりして、いろんな所に関わっているんだなとすごく勉強になりました。


 F医学(医学)   福井大学医学部  竹内 浩明 先生

最近あった、脳死による臓器移植などの実例を通して、医師の仕事の断片を知ることができました。

(生徒の感想から) 私は、この講義を受けるまで、脳死の現実というのを知っていたつもりでいました。脳死というものの裏側には犠牲があり、さまざまな苦悩があるということを思い知らされました。また、日本人はまだまだ心停止することを人の死と考える傾向にあり、脳死を死とみなすことが定着していないということが納得できました。脳死の問題はすごく難しいものだと考えさせられました。


 G医学(看護学)  福井大学医学部  酒井 明子 先生

東日本大震災やハイチ地震の経験を踏まえて、災害看護ということについて説明していただきました。

(生徒の感想から) 医学と聞くと病院の中で患者を診るというイメージがありますが、今回は災害看護の話をしていただきました。例えばボランティアをする場合には、レクチャーや事前準備にかなり時間がかかるので、なるべく長期のボランティアをしてほしいそうです。僕は、進路として災害や紛争等で困っている人を助けたいと思っているので、今回なるほどと思うことをたくさん説明して下さいました。


 H薬学    金沢大学医薬保健研究域  吉田 栄人 先生

感染症とワクチンの関係について説明していただき、特にマラリアに対するワクチン開発の話をしていただきました。

(生徒の感想から) 今回先生の話を聞いて、いろいろなことを初めて知りました。その中でも、一番驚いたことは、マラリアのワクチンがまだないことです。今まで、マラリアという病気を聞いたことはあったけど、症状や発生源など詳しいことは知りませんでした。ものすごく重い病気で、死に至る病気だとは予想外のことですごく驚きました。先生はマラリアのワクチンを研究されているそうですが、マラリアに感染してしまうことはないのかと心配になりました。


 I物理工学  名古屋大学大学院工学研究科  河原林 順 先生

地雷探知や考古学の分野まで幅広く活躍の可能性がある放射線についての説明と、検知器についての講義をいただきました。

(生徒の感想から)福島の事故で僕たちの耳にも自然と入ってくるようになった放射線という言葉を、今まで悪い意味でしかとらえることができませんでした。僕が一番驚いたのは、放射線で地雷を発見しようという研究が行われていたということです。僕たちの身近な放射線といえばレントゲンやCTです。それらも確かに僕たちに恩恵を与えてくれますが、この研究は世界の子供達を救おうという研究でした。


 J社会基盤学  東京大学大学院工学系研究科  東畑郁生 先生

東日本大震災や液状化をとおして、社会の基盤となっている土木建設について説明していただきました。

(生徒の感想から) 現在話題になっている液状化現象や地盤全般についての話をお聞きして、詳しく知ることができて興味が湧きました。液状化を再現できる装置や詳細な資料をたくさん使用した講座で、楽しみながらお話を聞くことができました。東日本大震災での液状化に対して対策や復興法に苦労されているとお聞きし、やはり、防災というものは簡単にいかないものだと思いました。


 K建築工学 東京工業大学大学院総合理工学研究科 元結正次郎 先生

最近のコンピュータシミュレーションの話だけでなく、自然と調和した建築物をつくることの大切さを説明していただきました。

(生徒の感想から) 特に興味を持ったのは、人が美しいと感じるフォルムの話です。人は自然や山や花・動物たちに美しさを見いだす。それは人工物にはない理にかなった形状がそう感じさせるのだという。色々な建築物の写真を見せていただき、無理のない自然で柔らかなフォルムに美しさを感じるということを納得しました。温かい柔らかなイメージを形にして、それで、人を感動させることができたらどんなに素晴らしいだろうと思いました。


 L情報工学 名古屋工業大学大学院工学研究科  津邑公暁 先生

コンピュータのCPUの直面している課題や高速化について説明をしていただきました。

(生徒の感想から)講義の内容が、自分が興味を持っていることだったので、集中して話を聞くことができました。CPUについての話が中心であった今回の講義で一番印象に残っているのは「コンピュータの高速化」の意義です。技術の進歩も大切だけれども、それより重要なのは、目標・目的といった類のものであることを改めて実感しました。また、CPUが直面している乗り越えるべき課題がいかに大切かが分かった。

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平成23年度 学問発見講座